おいしい英国レシピ No.17 Eccles Cake

No.17はエクルズケーキをご紹介します。

エクルズケーキ!?
日本では見かけることもなければ、聞いたこともないケーキですよね。
私もイギリスで生活する前には想像もつかないケーキでした。

このエクルズケーキとは、ほのかにスパイスを効かせたカレンツ(小粒のレーズン)をパイ生地で包んで焼いた、サクサクした香ばしいパイのお菓子です。

このお菓子、実は約3世紀もの歴史を持つイギリスでは伝統的なお菓子の一つなのです。
いつだれが作り始めたのかということは定かではありませんが、商業的にはJames Birchという人が1793年に、イギリス北西部に位置するランカシャー州の“Eccles(エクルズ)”という町の中心部にあるVicarage RoadとSt Mary’s Road(現在はChurch Street)の角で販売したのが始まりのようです。

町の名前である“Eccles(エクルズ)”という言葉は、ギリシャ語で「人々の集まり」を表す“Ecclesia”という単語の派生語で、”church(教会)“を表します。
どうやら、1111年に建てられた古いChurch(教会)にちなんで町の名前がつけられたそうです。

その教会では、数世紀にわたり毎年、教会が創立されたことを祝う儀式が開催されていました。
この儀式は、“Eccles Wakes(教会の守護聖人の祭り)”として知られるようになり、豊富な食べ物や飲み物が振る舞われ、エクルズケーキも好んで食べられていたそうです。

しかしクロムウェルが権力を握った1650年、守護聖人の祭りやエクルズケーキを食べることは異教徒であり、ピューリタン信仰に反するという理由で禁止されてしまいました。
しかし、年月を経て現在にもレシピが受け継がれ、イギリス人に愛されているお菓子です。

美味しくて伝統的なお菓子というのは、一時的に禁止されたとしても消えること無く、レシピは大切に残され引き継がれていくのですね。

ということで、エクルズケーキとは町の名前に由来するイギリスの伝統的なパイのお菓子です。
今回は、パフペーストリーという何層にもパイ生地が重なっている生地ではなく、比較的簡単に作れる“フレーキーペーストリー”でカレンツを包んでいます。

ぜひランカシャーのエクルズケーキを午後の紅茶と共にお楽しみください!

直径約5センチのエクルズケーキ10個分

【Flaky Pastryフレーキーペーストリー】
(簡易なパイ生地:バターが効いていてサクサクした食感がある)
※市販のパイ生地でもOK
(材料)
75g 食塩不使用バター
110g 薄力粉
一つまみ 塩
約3Tbsp 冷たい水

【フィリング】
(材料)
25g 食塩不使用バター
25g ブラウンシュガー
100g カレンツ 無ければレーズンでもOK
1個分 オレンジの皮*削る
1/2tsp オールスパイス
1/2tsp ナツメグ(パウダー)

※トッピング用
1個分 卵白
適量 グラニュー糖

1.フレーキーペーストリーを作る※市販のパイ生地でもOK
【フレーキーペーストリー】
(1)バターを75g量り、ラップに包んで冷凍庫に約45分入れる
※サクサクした食感の生地をつくるためバターを冷たく固くする
(2)ボールに薄力粉、一つまみの塩を入れたら、固くなったバターの側面に(ボールの中の)薄力粉を付け、チーズ削りで削る
※バターの側面に薄力粉を付けることにより、バターを溶けにくくし、また滑りを防ぎ削りやすくなる
写真1.1
(3)カール状になった削ったバターをパレットナイフで薄力粉と混ぜる
※削ったバターの側面に薄力粉をコーティングするので、手では混ぜない、手の温度でバターが溶けてしまうのを防ぐ
写真2.1
(4)冷たい水をふりかけ、パレットナイフで軽くかき混ぜたら、今度は手で混ぜて一塊にし、ラップで包み約30分間冷蔵庫で休ませる
※混ぜて練りすぎないこと
写真3.1
写真4.1
写真5.1
2.オーブンを200度に予熱し、オーブン板にベーキングシートを敷く
3.フィリングを作る
湯せんで溶かしたバターに、ブラウンシュガー、カレンツ、オレンジの皮、オールスパイス、ナツメグを入れて、ゴムベラでよくまぜる
写真6.1
4.作業台に打ち粉をし、①の生地を麺棒で横40㎝、縦16㎝にのばし(厚さは約5~6㎜)、10等分に切る
写真7.1
写真8.1
5.生地の中央に、スプーンでフィリングをのせ、刷毛で周りに水を塗る
写真9.1
6.四つ角を合わせて摘まんだら、摘まんだ部分を下にし、軽く押して形を整える
写真10.1
写真11.1
7.包丁で2~3カ所切り目を入れ、刷毛で卵白を塗ったら、グラニュー糖を軽くまぶす
写真12.1
8.200度に温めたオーブンで約20分焼き、ラックで冷ます
写真13.1

【Kanako公式HP】

Food culture and society

※現在新HPへ移行中のため、上記リンクは繋がりません。
筆者kanako様のプロフィールとお問い合わせは下記リンクのページをご利用ください。


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