「わからない」といえない日本人がトラブルを生む

日本とイギリスは、租税条約が結ばれていて、税金はどちらかの国で支払えばいいことになっている。

つまり所得税なども日本で払えばイギリスでは払わなくていいのだ。
ただ、こういった手続きは会計士などの手を借りないと、外国人にはハードルが高すぎるのも事実だ。

お国訛りは意外と侮れない

私が世話になったS氏は、イギリスでもっとも住みたくない「ダサい街」ランキング堂々入賞の「ロムフォード」という街に住んでいる会計士だ。
ロムフォードはエセックス州にあって、交通の便はいいけどとにかくダサい。

Sさんは「明瞭会計」が売りで、たしかに善人でぼったくらない街の会計士。
午前中働いて、午後は街のパブに繰り出してビールで乾杯、の毎日を送る独身お気楽人生だ。
もちろん、会計士としての知識は必要なだけ持っている。

が、問題は彼の「お国訛り」
エセックスはロンドンに隣接するベッドタウンなのだが、田舎で、エセックス訛りが強い。
いってみればズーズー弁アクセント英語なのだ。
その訛りを日本語で表すのは難しいが、例えば「・・・・・ナイッ?」(語尾を上げて発音)みたいに聞こえるが、実は「ナイッ?」の部分が「aren’t you?」だったり「isn’t it?」だったりするのだから、外国人にはいささかハードルが高い

外国語あるある

我々の悪いクセで、英語がちゃんとわかっていないのに、わかっているフリをしてしまう、というのがある。
カッコつけているわけではないが、何となく話の流れを止めてしまうのに気が引けるから

だが、それが時として思わぬトラブルを生む。

なんと! Sさんは、私の給料は日本とイギリスの両方で半額ずつ支払われている、と理解していたのだ。
この誤解は私の所得に対して二重の課税を招いた。
正確にいえば私の給料はすべて日本で支払われて日本で課税されていたのだが、Sさんが「給与の半分がイギリスで支払われている」という前提でせっせと税金を払う手続きをし、私の薄給の半分に対し、英日の両方から課税され続けた。

最終的に5年間にも及ぶこの二重課税分を取り戻すのに、のちに私はものすごく苦労した。

高かった授業料

結局Sさんではダメで、ロンドンで働く日本人の会計士に「成功報酬」として取り戻した税金を山分けする条件で、二重課税の取り戻しを依頼することになってしまった。
彼女は1年以上かけて○百万円もの税金をイギリスの国税庁から奪還し、半分持って帰った(ちなみにイギリスの国税庁はHM Revenue and Customsというのだが、みな、昔の呼称のインラン・レヴェニューと呼んでいる。私には淫乱レヴェニューと聞こえて困る)。

Sさんとは最初に、私の給料のことや、従業員の給料のことなど長々とディスカッションをしたはずなのだが、ズーズー弁の壁は厚く、コミュニケーションは困難を極めた。
あのときに、どんなに相手に怪訝な顔をされようと「Purdon?」もしくは「Excuse me, Please say it again?」とわかるまでしつこく喰い下がるべきだったのだ

Sさんも悪気でなかっただけに、責めるわけにはいかないが、英語がちゃんとわかる相手でないと、ビジネスは難しいとつくづく思った次第。
銀行、会計士、弁護士、役所などと話すときには用心していただきたいと心からアドバイス申し上げる。
「あとから」では高くつく

ちなみに「もっとゆっくりしゃべってください」というお願いは、相手の訛りが強いときには逆効果、ゆっくり話されるとよけい何を話しているのかわからなくなるので、泥沼になりかねませ〜ん

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