日本のおばさんが、クリント・イーストウッド似のイギリス人と結婚できた理由 23話 vs BBC後編

money talksその2

イギリスでの陳情

私たちが指定されたフードコートに行くと、他にも陳情を待つ移民と思しき人たちが長蛇の列を作っていた。
ヒューズの選挙事務所でボランティアをする学生たちが、陳情者一人一人に内容の確認をとっていく。

私たちも簡単に陳情の内容を聞かれた。

第1話はこちら
前回のお話はこちらから

サイモン・ヒューズ本人に会うまでに数時間かかった。
やっとの事で本人に向き合い、事情を説明する。
サイモンは、その日何時間陳情を聞いて来たかわからないほどだったが、疲れも見せず、マルコムの話に耳を傾けてくれた。
そして一通りの説明の後、こう言った。

「わかりました。でも、シンプルに解決しましょう。あなたたちが、見てもいないテレビの受信料を支払いことが本意でないことはわかりますが、とりあえず支払って、裁判を回避しましょう。その後に返金を請求するのが一番手っ取り早いです。その方法でもいいですか?」
サイモンにマルコムは聞いた。
「返金請求はどうするんですか?」
「私が代理でやります。問題ないと思います」

それを聞いて私たちは安心した。
国会議員サイモン・ヒューズが付いていてくれれば、問題は必ず解決するだろう。

お金はしゃべる!?

「念のため、テレビは処分した方がいいと思います」
とのアドバイスに、マルコムは早速私のオフィスにやって来て、コンシェルジュに話をつけた。
私のテレビを捨てたい、との申し出に、コンシェルジュのボス、ポールは難色を示したが、マルコムが言うには、5ポンドほどのチップを渡すと、ニコニコしながらテレビを捨ててくれたのだという。

「金がモノを言うんだよ(money talks)」と、マルコムは自分が公務員だった頃に上司から学んだというチップの威力を私に説明した。
その英語表現は私の記憶に一生残るだろう。
それにしても5ポンド程度で態度を変えるものかな、と私は不思議だった。

政治の威力

その後すぐに私は受信料を郵便局で支払った。
ほんの120ポンド(約1万5000円)ばかりだが、金額の問題ではなかった。
受信料を支払ったとニューズのオフィスに連絡すると、彼の事務所から、BBCに抗議文を送ったと、連絡があった。
そして本当にあっという間に、BBCから小切手が届いたのだった!

BBCからの謝罪文はこんな感じだった。
「この度は、調査員のミスにより、請求書をお送りし、申しわけありませんでした。ここに受信料をお返しいたします。今後はこのようなことがないように、調査員への指導を徹底いたします」サイモン・ヒューズの威力のすごさを思い知った一コマだった。

私もすっかりイギリス自民党のファンになった。
いや、サイモン・ヒューズのファンになった。
そして彼の事務所からの手紙(ヒューズのサイン入り)は家宝になった。

私は訴訟を免れ、そしてその後もテレビ受信料を支払っていない。
でも、イギリスに住む人はNHKとはけたちがいの、BBCのパワーを理解しておくべきだろう。

つづく

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