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日本のおばさんが、クリント・イーストウッド似のイギリス人と結婚できた理由 24話 さあ、南アフリカへ! その1

2009年、私とマルコムは、その年のクリスマスをどこで過ごすかについて話し合った。
イギリスではクリスマスは、家族の日。
家を出た子供達も、親に会いに実家に帰ってくるような特別な日だ。
前の年は息子たちが我が家を訪れてくれたが、長男はもう結婚して家を買っているので、クリスマスはむしろ私たちが出かけて行くような感じになっていた。
息子たちと過ごすのもいいのだが、日本の会社で働いている私にとって、夏と冬の長い休みは貴重だ。
こういう機会に旅行に行きたい、と私は思った。

第1話はこちら
前回のお話はこちらから

マルコムの若き日の夢

ところで、マルコムは若い頃、南アフリカで働きたいと思っていた、という話を聞いたことがあった。
マルコムが子供の頃はまだ、南アフリカはイギリス人のものだった。
今でこそイギリス連邦の一国となったが、当時はまだ植民地。
イギリスから南アフリカに渡って農場経営やビジネスで一旗あげるイギリス人も少なくなかった。
マルコムも、南アフリカに夢を描いた一人だったのだ。
同じ夢を持つ友達と一緒に南アフリカに渡って不動産業をやりたいと思った、と話してくれた。
だが、父親がそれに反対。
父はマルコムに「イギリスで公務員になりなさい」と強く勧めた。
マルコムは反発したが、友達が南アフリカ行きをやめるといい出し、結局自分も諦めた、というのだ。

マルコムの性格

「そんなに行きたかったらなぜ一人でも行かなかったの?」
そう質問すると、マルコムはキョトンとした。
一人でも挑戦する、といった発想はなかったようだ。
一方で、私から見れば、マルコムのお父さんは息子をよく理解していたと思う。
マルコムは南アフリカという未知の国で不動産業者になるようなチャレンジングな人ではない。
手堅い公務員は、いい選択だったとは思う。
だが、夢を夢だけのまま終わらせるのはつまらない。

南アフリカに行こう!

私は提案した。
「じゃあ、南アフリカに旅行に行きましょうよ。そんなに行きたかった国ならば、自分の目で一度、見ておきたいでしょう?」
マルコムは私の提案に驚いたようだった。
夢として封印してしまった国を見に行く。
そんなことは考えたこともないようだ。
私は、クリスマスから新年の休暇として12日間の休みが取れることを計算した。
これだって日本の会社にしては長い方だが、マルコムにはもの足りないようだった。
なんとか2週間行かれないか、と聞かれたが、日本の会社ではわがままは言えない。

旅行の計画をたてる

マルコムは早速旅行ガイドを書店で買ってきた。
そう、欧米で人気の「ロンリープラネット」だ。
日本でも売っていると思うが、写真や地図がふんだんに入ったガイドブックに慣れた日本人には、文字ばかりのモノクロの旅行ガイドはどうしても使いにくい。
それでもガイドブックとインターネット情報で、私たちは南アフリカの旅行コースを考えた。
ケープタウンから入って周囲を観光したのち、レンタカーを借りて海岸線を東に行き、レソトという山岳国家を訪ね、そこでクリスマスを過ごす。
そして最後はそこから国内線飛行機でケープタウンに戻り、イギリスに帰ってくるという旅だ。
マルコムは、犯罪率が世界一の悪名高いヨハネスバーグにだけは寄りたくない、と頑なだった。
私はそこを外してコースを決めた。
そして電話やネットで宿を予約し、航空券もとった。
ルフトハンザ航空でフランクフルト経由ケープタウン行き。
12月の末に出発が決まった。
マルコムは、昔大ファンだったアイドルに会いに行くような気持ちだったのではないだろうか?

つづく

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Emma Rosemary Watson

2005年ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ、Transnational Communication and Global Media修士課程終了。以降、ロンドンにて日英コンテンツの発信を行う。ロンドン在住中にイギリス人の夫と結婚、イギリス流のライフスタイルのなかで暮らす。現在、イギリス人の好むイギリスのカントリーサイドを歩くネイチャーウォークの楽しさを日本人にも知ってもらおうと活動中。

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