今回のレシピは、イギリスの南西に位置するウェールズ（ロンドンの西方向に約200㎞）生まれのバラブリスというティーケーキをご紹介します。

バラブリス（Bara Brith）とは、ウェールズ語でBara＝bread（パン）、brith＝speckled（たくさんの小さな斑点のついた）という意味で、たくさんの斑点がついたパンということになります。
18世紀にウェールズのシェフが、パン生地にドライフルーツとスパイスを加えてティーローフを作ったのが始まりとされており、現在でもレシピはほとんど変わらず、世代から世代と引き継がれているようです。

そんな代々引き継がれているバラブリスですが、2006年にウェールズでちょっとした出来事が起こりました。

Morrisons（モリソンズ）というスーパーマーケットチェーンが、ウェールズにある19の店舗において、バラブリスを販売しないと発表したのです。
その理由は、バラブリスの販売不振が原因のようです。

そこで、Sainsbury’sというスーパーマーケットチェーンがウェールズで行った調査によると、10代の36％がバラブリスを食べたことがないとの結果が出ました。
そしてイギリス全体の調査では、なんと85％の10代が伝統的なウェールズのバラブリスを食べたことがないとのことでした。
もしかすると10代には、伝統→古くさい→魅力が無い→食べないというイメージがあるのでしょうか。
しかし、バラブリスの販売を中止したモリソンズのHPには、バラブリスのレシピがしっかりと掲載されています。
やはりモリソンズにとってバラブリスを次世代に引き継ぎたいようですね。

グローバル化によりイギリスに限らず日本や他の国でも、人・物などの移動がたやすくなり新しい物がどんどん入ってきていて、選択肢がとても多くなってきていると思います。
その状況の中で、伝統の物を正確に次世代に引き継ぐのは本当に大変ですね。
皆さんはどう思われますか？

それでは、バラブリスのレシピを紹介します。

ドライフルーツを紅茶に一晩浸すことにより、紅茶の香りがフルーツに移り、一口食べた瞬間にふわっと紅茶の香りが漂いますよ。
お好みでバターを塗ってお召し上がり下さい。

（材料）22㎝×9.5　高さ7㎝のパウンド型
200g　ミックスドライフルーツ（サルタナレーズン、カレンツなど）
130g　三温糖
1個　オレンジの皮（削る）
170ml　紅茶（濃いめ、種類は何でもOK）
240g　薄力粉　＋　8g　ベーキングパウダー（あらかじめ混ぜておく）
※お好みで　(1・1/2 tsp　mixed spice、シナモンのみでもOK)
1個　卵　※常温に戻しておき、混ぜる前によく溶く
35g　バター（食塩不使用バター）　※常温にもどしポマード状にしておく
1Tbsp　ハチミツ

※mixed spice～イギリスではmixed spiceと呼ばれるスパイスが売られています。主にお菓子を作る際の風味づけに使われます。
Mixed spiceの配合は、
1Tbsp シナモン、1tspコリアンダー、1tspナツメグ、1/2tspジンジャーパウダー、1/4tspオールスパイス、1/4tspクローブです。

１．ボールにミックスドライフルーツ、三温糖、削ったオレンジの皮を入れ、濃いめの熱い紅茶を注ぎ、よく混ぜて一晩置く

２．オーブンを160度に予熱し、パウンド型にベーキングシートを敷く
３．２のドライフルーツ類を大きなボールに入れ、薄力粉・ベーキングパウダー（とミックススパイス）をふるって入れてゴムベラでよく混ぜる

４．溶き卵を少しずつ入れ混ぜる

５．やわらかくしたバターを入れてよく混ぜる

６．型に流し、160度に予熱したオーブンで、約70分焼く
※40分を過ぎると、表面に色がついてくるので、様子を見ながら色づきを防ぐためアルミをかぶせる
※竹串をさして何もついてこなければ焼き上がり

７．焼きあがったらラックにのせ、すぐに刷毛ではちみつを塗る

８．できあがり