EU国民投票をめぐって、雑感その2

その1のつづきです。

意外に普通? 街はいつも通りの姿

さて、国民投票から一夜あけて「離脱」が決定的となった6月24日の朝。

ニュースをチェックした時は「ええっ! これからどうなっちゃうの?」と驚愕したのですが、意外にも街の様子はいつも通りです
離脱派が祝賀ムードで大騒ぎしていたり、残留派が抗議スピーチをしていたり、ということもなく、いたって静か。

「Celebrate LEAVE」のバッジをつけた人を数人見かけた程度でしょうか。
とにかく、こちらが拍子抜けするほど、普段通りの雰囲気でした。

在英EU国民はショックを隠せず

しかし当然ながら、在英のEU国民は、この結果に不安を募らせています。
娘のクラスメイト(ポーランド人)も、「結局イギリス人は僕たちを邪魔者だと思っているんだ」とこぼしていたとか。
すぐに影響が出ることは無い、とはいえ、先行きの不安定さはぬぐえません。

現地在住でも、見えない「過半数」

個人的に、今回の国民投票を通じて感じたのは、外国人である自分に見える世界の「狭さ」でした

デヴォン州では、私たちが住んでいる州都エクセターのみが「残留」で、他の地域は全部「離脱」支持だったそうです。
そのエクセターでも、残留派55%という僅差の勝利。つまり、住民の半分近くは離脱支持なのです

それなのに、私が話した人のほとんどは、離脱に決まったことを嘆いていました
「信じられない。まさかこんなことになるなんて」
「怒りで仕事に手がつかない」
「ショックで何も考えられない」。

EEC加盟から40年超、イギリス国民の生活に、EUとの関係は深く影響を与えています。

大学や企業の補助金はどうなるのか。
他のEU国に住んでいる家族や親せきはどうなるか。
残留派の多いスコットランドでは、また独立騒ぎが持ち上がるのでは?
北アイルランドも、南との統合を望むかもしれない・・・。

彼らの心配はどれももっともなのですが、しかし事実として、英国民の過半数は「離脱」を支持したというのに、離脱派の喜ぶ声を聞くことは余りありませんでした
それは結局、自分のコミュニティの偏りからくるのだろう、と思います。

イギリス人にも、当然いろんな人がいます。
外国人である私に好意的な人もいれば、距離をとって目を合わせない人もいます。
当然、自分に好意的に接してくれる人とだけ話すことになるのですが、そういう人たちはほとんど、外国人に寛容な残留派だという・・・。

離脱派の人たちが抱く不満や不信は、私たちのいない場所で積もっているのでしょう。
現地に暮らしていても、自分に見えないものがいかに大きいか、ということを痛感しました

曲がったバナナがもたらす未来

あるイギリス人は、こんなことを言っていました。

「不安は大きいけど、良い面に目を向けましょう。ともあれ私たちは、また曲がったバナナを食べられるようになるんだわ」。

EUの規制は食品規格にも及んでおり、そういった細かい規制を、内心で不満に思う人も多いのです。
EUから離脱、という前例のない道を選択したイギリス人が、再び口にする「曲がったバナナ」は、いったいどんな味なのでしょうか

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