もちろん、EU離脱後には様々な懸念が考えられます。
すでにポンドの下落により、農業従事者、小売業者、生産者などは原材料費の値上げに直面し、食品産業で影響が出ているほか、離脱後は関税もかかってくるため、食品の値上げは避けられないことでしょう。
ふだん使いしていたEU諸国の食料が手軽に入手出来なくなるかもしれません。
また、欧州の多くの移民が働いていた食品産業、外食産業では、EU離脱により労働者不足になり、例えば、イギリス人が日常使っていた多国籍料理のレストランが減少することも考えられるなど、EU離脱後、イギリスの食は、多くのマイナスの面を持つことになります。
しかしながら、EU離脱はイギリスの食にとっては独自の食を築くチャンスにもなるかもしれません。
イギリスの食の歴史をたどってみると、大英帝国の拡大により植民地から様々な食料が輸入されてきました。
例えばインドの料理カレーなど、東インド会社のメンバーによってイギリスに持ち込まれ、そしてイギリスから世界に広められたと言われています。
イギリスの地方料理やお菓子には香辛料が多く使われているのも、植民地から持ち込まれ、アレンジされてできた料理・お菓子が多いのです。
EU加盟後は、バターの代わりにオリーブオイルを、そして多用していたジャガイモがパスタにかわったりと、モダンブリティッシュ料理が生まれ、イギリスにおいての食のアイデンティティはまさに、異文化を取り入れたパッチワークの料理、つまり多文化料理になっていたのです。
しかしEU離脱後は、今までのような条件で食品の入手は難しくなると予想さるため、その場合はイギリスでの生産を余儀なくされる場合もあると思われますが、農業改革をし新たな食を産み出す絶好の機会かもしれません。
イギリスのような1年を通し比較的低温の風土でも、技術の進化により野菜や果物が生産できる可能性はいくらでもあります。
現地でとれた食材を活かした独自の料理が生まれるのでしょうか。
また、移民の労働者も規制されることも考えられるため、レストランでの食産業では、イギリス人の料理人の雇用が増え、またレストランで活躍する機会も増えるでしょう。
イギリスではEUに加盟して以来、EUの厳しい労働基準法が適用され、料理人は週に36時間しか働けませんでした。
時間をかけなければ作れない、例えばブイヨンやコンソメを既製品に頼らざるをえないレストランが多かったことも事実です。
しかしEUの基準から外れれば、若い料理人たちが手間暇をかけてそれらのブイヨンを一から作り上げたり、ベテランシェフから多くのことを学べる時間も多くなるなど、技術の向上が見込めます。
今まで培ってきたノウハウを活かし、そして技術は磨かれ、イギリス人ならではの感性を持ち合わせた食になり、またイギリスで生産された食材をふんだんに使った新たな、そしてパッチワークではない、生粋のイギリスの食文化が生み出せるかもしれません。
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