“Mrs Beeton”という名前に見覚えはないですか?
No.3のヴィクトリアオレンジケーキで少しだけ紹介している人物なのですが、いったいこのビートン夫人とはどんな方?と疑問に思われた方も多いのではないでしょうか。
実はビートン夫人とは、ヴィクトリア朝時代を代表する、伝説のカリスマ主婦なのです。
そこで今回は、ビートン夫人について少しだけお話しします。
“イギリスの主婦“といえば、ビートン夫人
私がビートン夫人を知ったのは、もちろんイギリスに住んでからのことです。
友人のイギリス人男性に「イギリス料理を学びたい」と相談したところ、ビートン夫人の本を紹介されました。
彼は家事など全くしなそうな雰囲気の男性でしたが、そんな彼でも知っているほど、そしてイギリスでは知らない人がいないと言われるほど有名なカリスマ主婦“ビートン夫人”の本です。
ヴィクトリア時代の上流階級の夫人
ビートン夫人の名前はイザベラ、ベラと呼ばれていたそうで、1836年にロンドンで生まれました。
ちょうどヴィクトリア女王の時代(1837~1901)で、イギリスは世界の工場と言われるほど高い競争力があり、経済の繁栄と広大な植民地を誇っていた頃ですね。
そんな繁栄期にビートン夫人はドイツで教育を受け、1856年に裕福な出版人Samuel Beetonと結婚しました。
この結婚がビートン夫人にとって人生の転機となったようです。
著作が19世紀に200万部を超える大ヒット本に!
結婚後は、夫の刊行書のために料理や家事についての記事を書き始め、1861年にはその連載記事が1冊の本にまとめられ、『The Book of Household Management』として出版されました。
この本はイギリスで大反響を呼び、初版で6万部、そして1868年までにはなんと200万部を超える大ベストセラーになったそうです。
本の内容はお料理のレシピの他、家事全般、育児、そしてエチケットやおもてなし、使用人の雇用に至るまで幅広くビートン夫人の豊富な知識や知恵が書かれています。
ほとんどのページがカラーでデザインされ、当時にとっては画期的な本でもあり、またイギリスにおいて初めてのレシピ集だったそうです。
この本は今日においても多くのイギリス人の他、世界の人々に愛読されています。
早世だったカリスマ主婦
そんな主婦のカリスマ的存在だったビートン夫人は、1865年に産褥感染症にかかり、なんと28歳という若さでこの世を去ったそうです。
もしもっと長く生きていたら、歳を重ねてこそ得られる主婦の知恵が鏤められていたかもしれませんね。
それは、皆さんが年を重ねた際に追記してみてください。
きっと素晴らしい1冊になると思いますよ。
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