昔からロックが好きで、歌詞カードは恰好の英語課題だった。
何といっても教科書と違って、そこには生きた英語が載っていたし、発音だってネイティブが歌っているのを真似られるので、身に付きやすいのだ。
しかし、生の英語の醍醐味なのか、いくら辞書で調べても載っていなかったり、意味が違っている単語やフレーズがあった。
今回は、そんな我々日本人には困った英語たちをご紹介したい。
オカマを掘る!?
例えば「round about」なんていうフレーズ。
これは今でこそカタカナでも「円形交差点」と知られるようになったけれど、昔は辞書に載ってもいなかった。
翻訳するのに苦しんだ思い出がある。
アメリカのバンドだが「Can you dig it?」という歌詞に悩んだこともある。
掘れる? オカマ? そんな粗末な発想しか田舎の高校生にはない。
digは1970年代に流行ったアメリカのスラングで「understand」と同義だとアメリカ人留学生が教えてくれた。
だから今はもう死語。
使うなキケン、なのである。
ファミリーニュースを作る習慣がある
同じroundを使った言葉に「round robin」というのがある。
これはいわゆる「ファミリーニュース」のこと。
孫のナンシーが、あのダイアナ妃も通った有名私立幼稚園に入っただの、息子のアレンが支店長になってスコットランドに転勤になった、といった家族の出来事—それもどちらかと言うと、明るい話題という名目の自慢話が多くなりがち。
だから読むほうにとってあまり面白いわけではないが、よくクリスマスカードに挟み込まれてくる。
日本の年賀状でも、ところせましと自分の1年間の出来事を印刷してくるヒマ人がいるが、あれのファミリー版という感じ。
口語と文語はけっこう違う
イギリスで生活してみると、毎日のように使うけれど、決して日本の英語辞書には載らない「口語」にも多く出会う。
例えば「捨てる」と辞書で引くと「through ~ away」などと出てくるが、イギリス人はそんなこと言わない。
「chuck」を使う。
子どもが何か変なものを拾っていれば「chuck it!」(捨てなさい)と親がいう。
「チャキッ」と聞こえる。
chuckは広範囲に使われていて、例えば「恋人に捨てられた」なんていう場合にも使う。
面白いのがdodgyというスラング。
強いて訳せば「ヤバい」みたいな感じだろうか。
「危ない」「当てにならない」「信用できない」など、どのみちあまりよろしくない意味だが、そんなに深刻になりすぎない軽妙さがdodgyのニュアンスには入っている。