日本のおばさんが、クリント・イーストウッド似のイギリス人と結婚できた理由 26話 そして全てが始まった

ClintEastwood

話は少し戻るが、私がイギリス・ロンドン大学修士課程で学ぶために渡英したのは2004年の7月15日のことだった。
日本からはもう航空券を買わないつもりで、アシアナ航空のロンドン往き片道チケットを持ち、前だけを向いて搭乗したことを覚えている。

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入国審査での取り調べ

ちなみに、普通の観光の場合は、片道の航空券では出国できないのでご用心。
受け入れ先の国の就労ビザや学生ビザなど、身分保証がないと、日本からは片道では飛行機に乗れない。
私はれっきとした「学生ビザ」を持っていたのだが、年齢のためヒースロー空港の入国審査で別室に呼ばれて取り調べを受けた。
入国審査官がビザ発行元のロンドン大学に連絡、疑いは一瞬で晴れたのだが。
トウのたった留学生は辛いのである。

卒業後の活動

イギリスでの修士課程は1年だ。
その後、私は自分の会社のロンドン支社を設立したかったので、大学の外にもあちこち足を運んで人脈づくりに励んだ。
そんな中で出会ったのがマルコムだったが、彼は私の仕事に対しても協力を惜しまなかった。
とはいえ、彼は公務員だったし、私のやっている出版業のことを知る由もなかったが、ネイティブということで頼ってしまったところは少なくなかった。

さて、私が熱心に足を運んだのは、国際ブックフェアだ。
世界中の版元や作家、取次などが広大な会場で一同に会し、見本市&懇親会を行うのだ。
日本の大手出版社もブースを出していたが、外国人のバイヤーと英語で商談をしたくないようで、客と目を合わせようともしないのが印象的だった。

事業展開の転機

そこで、のちに一緒に仕事をするカスパという編集者に会った。
彼はハイテクノロジーやアニメなど現代日本に憧れる若い世代のイギリス人だった。
ある日、カスパから「ねえ、SUDOKUって日本ではやっているみたいなんだけど、知らない?」と電話がかかってきた。
ネットで調べると、ナンバープレースとも呼ぶ数字パズルだとわかった。
「こっちで1冊作れないかなあ」

日本の編集者仲間の力を借りれば容易い。
私はカスパの会社でSUDOKUの本を超特急で作った。
それはイギリスにおけるSUDOKUブームの先駆けとなり、営業力のあるカスパはそれを全世界に売り込んだ。
カスパの会社は大儲け、彼は軒を借りていた広告代理店から独立し社長になった。

会社を設立する

私はそろそろ自分の会社の支社設立に着手することにした。
でも、一体どうやったらいいのだろう? 会社など作ったことがなかったので、どこから手をつけていいのかもわからなかった。
とりあえず、会社登記所に出かけた。
日本の親会社とロンドン支社を会社登録し、そこから実務的な手続きになった。
会計士を決め、支社のオフィスを借りるのだ。
会計士を決めるときも、オフィスの大家と面談するときも、マルコムには立ち会ってもらった。
英語の理解不足からくる誤解を避けるためだ。

英国人の美徳

しかし、どちらの場合も、マルコムはほとんど一言も口を挟まなかった。
唇を真一文字に結び、真面目そのものの顔をして、黙って脇に控えている、という感じだった。
私としては、「そこはどうなっているんですか?」とか「こうなった場合はどちらに責任があるのですか?」とかそういうツッコミを期待していたのだが、彼は全く口を挟まなかった。
それが美徳だとでもいうように。

なので、私はほとんど一人で支社の体裁を整えた。
そして、そこのことが後になってとんでもないトラブルを引き起こすのだが、それは後述しよう。

つづく

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