野菜である人参がケーキに?と不思議に思うかもしれませんが、
中世のヨーロッパでは、甘い食べ物は少なくまた高価な物でした。
そのため、人参がケーキやデザートに使われていたそうです。
イギリスの18・19世紀の料理本には、すでにキャロットプディングとしてレシピが掲載されていたようですが、
そのイギリスでキャロットケーキの人気が出始めたのは、食品省が再普及させた第二次世界大戦中だったそうです。
1975年頃には、キャロットケーキは、人参・ブラウンシュガー・全粒粉やナッツを使うことからヘルシーフードと見なされたようですよ。
現在はどうなのでしょうか???
そんなキャロットケーキは、私にとってイギリスのケーキの中で一番思い出のあるケーキです。
キャロットケーキとの出会い
イギリスに住んで間もない頃、知り合いになったイギリス人ご夫妻から「最近1万本の木を植えたから見に来ない?」
とケンブリッジ近郊にあるご自宅に招かれました。
ご自宅の庭に植えられている1万本の木にも驚きましたが、もっと驚いたのは、500年前に建てられた家に住んでいたこと。
日本で言うと、“戦国時代”に建てられた家ということです。
石造りで屋根は茅葺き、窓も柱も少し傾いていましたが、
周りの風景と一体化し、まるで中世にタイムスリップしたような気分でした。
イギリス人の生活の豊かさは、古い物を大切にする心に繋がっているのですね。
そんなお宅で紅茶と共に頂いたのが、手作りのキャロットケーキ。
それまでキャロットケーキの存在を知らなかった私。
すぐにレシピを教えて頂き、レシピ通りに何度も作ってみたものの、なかなか上手く焼けませんでした。
英語レシピは誤訳にご用心!
何度何度も失敗してやっと気づいたのが、自分の和訳に誤りがあったこと。
grateという単語を「すりおろす」という意味でずっと理解していたため、
大根おろし器で、人参をすりおろして生地に混ぜていたのが失敗の原因でした。
すり下ろすと人参の水分が過剰に出てしまっていたのです。
故に、教えて頂いたレシピのgrateというのは、
と言う意味。
確かにイギリスには大根おろし器なんて無いですよね。
気づいてすぐに、チーズ削り器でチーズを削るように人参を削って生地に混ぜたところ、
まさしく500年前の家で頂いたキャロットケーキを再現出来ました。
そういう意味で、キャロットケーキはイギリスのケーキの中で一番思い出のあるケーキです。
くれぐれも、人参はすり下ろさないで下さい!
もし、チーズ削りが無ければ、人参を包丁で細かく千切りにし混ぜて頂ければ大丈夫です。
材料
・170ml サラダ油
・150g ブラウンシュガー
・3個 卵
・150g 薄力粉 + 8g ベーキングパウダー(あらかじめ混ぜておく)
・一つまみ 塩
・各1/3tspずつ シナモン、ナツメグ、ミックススパイス
※ミックススパイスがない場合は、2/3tspシナモン、1/3tspナツメグ
・170g ニンジン(チーズおろしで削る)※参考写真
・50g サルタナレーズン
・50g クルミ(粗く刻む)
・35g バター(常温に戻しておく)・150g クリームチーズ(常温に戻しておく)・15g 粉糖(玉にならないように、ふるっておく)・1/2tsp バニラエクストラ
レシピの紹介
1.オーブンを170度に温め、18㎝の型にベーキングシートを敷く
2.大きいボールにサラダ油・ブラウンシュガーを入れてハンドミキサーで混ぜ、卵を1個ずつ加えてさらに良くかき混ぜる
3.薄力粉とベーキングパウダーを混ぜたもの、塩一つまみ、スパイスを②にふるい、ゴムベラを使って切るようにかきまぜる
4.ニンジン、サルタナレーズン、粗く刻んだクルミをいれてざっくりまぜる
5.型に流し、170度に予熱したオーブンで約60~70分焼く
※約40分を過ぎると表面が色づいてくるので、色づきすぎないよう様子をみながらアルミで生地を覆ってオーブンで焼く
※竹串をさして何もついてこなければ焼き上がり
6.アイシングを作る~バター・クリームチーズ・粉糖・バニラエキストラをボールに入れてよくかき混ぜ、ケーキが冷めたらケーキの上にぬる
7.完成!
【Kanako公式HP】
Food culture and society
※現在新HPへ移行中のため、上記リンクは繋がりません。
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