“レモン”で、まず最初に思い浮かぶイメージは、「酸っぱい食べ物」ではないでしょうか。
レモネード、レモンキャンディー等々。
しかし色々考えていくと、食器洗いの洗剤にはレモン殺菌とか、
トイレの芳香剤にはレモン消臭、そしてアロマオイルにもレモンの香りでリフレッシュと、
レモンは食べ物から日常生活、そして人間の体から心まで様々な効能を持つ食品のようですね。
そこで、そのレモンとイギリスの関係をみていきたいと思います。
壊血病を解決したイギリスのレモン療法
レモンは、イスラム帝国以前のササン朝ペルシア(226年~651年)でペルシア人が栽培していたようで、遠い昔から存在していた食品ですが、
そのレモンがイギリスで注目されるようになったのは、近世になってからのこと。
ジェームスリンド(1716年~1794年)というスコティッシュの医者及び海軍衛生学の専門家が、レモンと壊血病の関係を発見したことに始まります。
ジェームスリンドは、1741年に海軍で壊血病にかかっている患者を12人選び、12人を6組のペアに分け、
一組目はリンゴジュース、二組目は海水、三組目はお酢、四組目はニンニク、五組目はマスタードとホースラディッシュ、六組目にオレンジとレモン、
とそれぞれ異なる食材を食事に加えた実験をしました。
その結果、6組目のオレンジとレモンを加えた食事をした患者が(他の組の患者には何の変化も無かった)、劇的に回復・完治し、柑橘系による壊血病の食事療法を確立したそうです。
しかし、海軍の船へレモンを供給するという海軍命令が出されたのは発見から40年も後のこと。
それ以降は、レモンが積み込まれ、海軍で壊血病にかかる人はいなくなったそうです。
ゆえに、当時のイギリスにおいてレモンというのは、食事療法としての食品ということだったようですね。
レモン・ドリズルケーキの原型料理?
そんな発見から100年後、ビートン夫人がレモンを使ったプディングを本で紹介していました。
それは「Lemon Delicious Pudding」。
レシピを読んでみると材料には、卵、小麦粉、グラニュー糖、牛乳、レモン、塩、粉糖。
バターの代わりに牛乳が使われていますが、パウンドケーキに似たような作り方です。
レモンを多く使っているので、生地自体がとても酸味があって爽やかな食感のレシピのようです。
もしかしたら、これが“レモン・ドリズルケーキ”の原型になったかもしれませんね。
それでは、レモン・ドリズルケーキのレシピを紹介します。
材料
・130g 無塩バター(常温に戻し、混ぜやすいようポマード状にする)
・130g グラニュー糖
・2個 レモン(2個分の皮、1・1/2分の果汁)
・3個 卵 ※少し小さめ(分離を防ぐため、常温に戻しておく)
・一つまみ 塩
・75g 薄力粉 + 4gベーキングパウダー(あらかじめ合わせてふるっておく)
・55g アーモンドパウダー
・1Tbsp(大さじ1杯) 牛乳
・75g カソナード
レシピの紹介
1.オーブンを160度に予熱し、パウンド型にベーキングシートを敷く
2.ボールに、無塩バター、グラニュー糖、レモン1個分の皮を削って入れ、白っぽくなるまでよく混ぜたら、塩をひとつまみ加え、卵を一つずつ加えて混ぜていく
※この段階でバターが分離してしまったら、分量の薄力粉を少々加えると元に戻る
3.薄力粉、アーモンドパウダーを振るって混ぜ、牛乳を加えて混ぜる
4.型に生地を流し、約40~45分焼く
※竹串を刺して、何もついてこなければOK
5.ケーキを焼いている間、小さいボールに、1個分のレモンの皮、1.5個分のレモン果汁、カソナードを混ぜ、
ケーキが焼き上がったら、爪楊枝でケーキにいくつか穴を開け、
ケーキがまだ熱いうちに、スプーンでレモン果汁をまんべんなく ふりかける
*ふりかけるコツは、スプーン一杯のレモン汁が生地によくしみ込んだら、次をふりかける を繰り返す
6.型で完全に冷ます
完成!
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