皆さんは、「ショートブレット」と聞くとどういったものを思い浮かべるでしょうか。
パンじゃなくてビスケット?
“短いパン?”と思わず訳してしまいそうですが、
ショートブレットのshortは、短いという意味のほかに、
サクサクする、もろい、ぼろぼろする、粉々に砕けるという意味もあります。
そしてbreadのパン。
それが一つの言葉で、“サクサクするパン”という意味になります。
ショートブレットは、中世のビスケットパンに由来するそうです。
そのビスケットパンというのは、今で言うラスクのことで、砂糖・スパイスをかけて2度焼きし、固く、乾燥させた甘いビスケットのこと。
そのラスクのオリジナルレシピでは、イースト菌が加えられていたそうですが、時代を経てイギリスやアイルランドでの必需食品であるバターに代えられたようです。
イギリスの歴史とショートブレッドの関係
そのショートブレット(ラスク)は12世紀には既に存在していていましたが、
16世紀にスコットランドのメアリー女王(1542-1587年)が大好物だったことから広く知れ渡るようになりました。
スコットランドでは当時、ショートブレットはとても高価な物であったため、主にクリスマスやホグマニーと呼ばれる大晦日に行われるお祭りで食べられた貴重な食べ物だったそうです。
ホグマニーには火を使う行事が多く、その火は太陽を表し、悪魔を排除すると言われています。
当時、丸く伸ばして焼かれ中心から三角形になるようにカットされサーブされたのも、その火(太陽)と関係があるそうです。
また、スコットランドの北部にあるシェットランド諸島では、花嫁が新居に入る際に、頭にのせた飾り付けられたショートブレットをエントランスで割るのが伝統だそうですよ。
材料に米を使うパン??
そんな言い伝えのあるショートブレットには、時代を経るごとに材料も変わっており、
1694年に出版されたReceipt Book of Mrs. Ann Blencoweのレシピには、1poundの小麦粉に、ハーフpoundのバターを加えてパン粉状にしたら、ハーフpoundの砂糖を入れ、なんと最後にホワイトワインを加えてペースト状にして焼いていたそうです。その後、オート麦、セモリナ粉、また米粉が加わったりして、レシピが徐々に変化してきているようです。
今回は米粉を使ったレシピになります。
米粉というと、日本というイメージがとても強いですが、イギリスには、お米を牛乳・砂糖・バニラビーンズで炊き込むライスプディングがあったりと、意外とライスはイギリスの食生活に浸透しているようです。
是非米粉を使ったショートブレットをお試し下さい。
材料
約18枚分、出来る量になります。
- 175g バター(常温に戻しポマード状にする)
- 75g グラニュー糖
- 135g 薄力粉
- 75g 米粉
- 一つまみ 塩
- 適量 グラニュー糖(装飾用)
レシピの紹介
1.ボールにバターとグラニュー糖を入れ、白っぽく、軽くなるまで混ぜる
2.薄力粉、米粉、塩一つまみを①のボールにふるい入れる
3.木べらもしくはゴムベラで混ぜ合わせてパン粉状にしたら、手でよくこねてひとかたまりにする
4.直径5㎝の筒状に伸ばしたら、ラップに包んで冷蔵庫で約20分寝かす
5.オーブンを190度に予熱し、オーブン板にベーキングシートを敷く
6.寝かした生地を約1㎝の厚さになるようにスライスする
7.生地の側面にグラニュー糖をつける
8.切った面をうえにして並べ、オーブンでうっすらと茶色になるまで、約13~15分焼く
9.焼きあがったらすぐに、茶こしでグラニュー糖をふりかける
10.完成!
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