今回はアイリッシュソーダブレッドの紹介です。
このアイリッシュソーダブレッドは”アイリッシュ”という名前が付いていますが、アイルランド生まれのソーダブレッドではないのです。
アイルランド流ソーダブレッドと訳した方が良いかもしれませんね。
ソーダブレッドはアメリカで生まれた
それでは、ソーダブレッドはどこで生まれたのでしょうか。
ソーダブレッドは、ベーキングソーダを加えることによってパンを膨らませるのですが、そのアイディアを最初に考えたのは、なんと”アメリカンインディアン”で、彼らは数世紀前には真珠灰または炭酸カリウム(木灰にある自然のソーダ)を使って、パンを作っていたようです。
そのアイディアが大西洋を渡って、1840年代にアイルランドに広まりました。
そこで、アイルランドで生産される軟質小麦(薄力粉)を使って作られたのが、アイリッシュブブレッドということのようです。
ところで、1840年代で何か思い出すことはありませんか。
1845年にアイルランドでは『ジャガイモ饑饉』(※参照)が起きました。
もしかして、主食のジャガイモを失ってしまったアイルランド人が、その代替物としてソーダブレッドを発明したのでは???と思われた方(私もそう思っていた一人です)もいらっしゃるかもしれません。
でも、どうやらジャガイモ飢饉とソーダレッドに関連性はないようですが、当時、ジャガイモ飢饉に苦しむアイルランド人にとっては、自国で生産された軟質小麦を使って簡単に作ることができるソーダブレッドは、天からの恵みの品だったかもしれませんね。
表面の切れ目は”十字架”だった
このアイリッシュソーダブレッドの作り方は至ってシンプルです。
薄力粉(全粒小麦粉)、バターミルクそしてベーキングソーダと塩を混ぜ合わせた物をこねて丸形にし、オーブンで30分ほど焼いたとても簡単に作れるブレッドです。
この材料で重要な役割を果たすのが、バターミルクとベーキングソーダになります。
バターミルクの酸がベーキングソーダと反応すると炭酸ガスが発生し、焼いた際に生地を膨張させます。
そして、こねた生地を焼く前に生地の上部にナイフでクロスにカットするのですが、中まで良く火を通すという意味ではなく、アイルランドでは、悪魔を撃退し、家族を守るという謂われがあるようです。
また、ソーダブレットは地域によって形が異なるようで、例えば、アイルランドの南部では、丸くした生地の上部に包丁でクロスにカットを入れて焼きますが、北部では丸形にした後に中心から4等分し、三角形のような形にしてから焼かれるそうです。
見た目は違うもののクロスにカットするという点では地域が異なっていても同じですね。
全粒小麦粉が入っているので香り豊かなブレッドになります。
バターミルクは日本では手に入らないので、牛乳とレモン汁を混ぜ合わせた物で代用できます。
とても簡単なブレッドになるので、ブレッドをきらしてしまったりした際には、是非焼きたてのブレッドを作ってみてくださいね。
※ジャガイモ饑饉(波田野裕三「物語アイルランドの歴史」より抜粋)
また、当時イギリスに併合されていたアイルランドでのイギリスからの分離独立運動が激しくなり、青年アイルランド党の蜂起などが起こったが、運動は鎮圧された。
「1845年の夏、アイルランドは長雨と冷害に祟られ、それだけならまだしも、この年の8月、イングランド南部に奇妙な病害が発生した。それは三年前に北アメリカの東岸一帯を荒らしたウィルスによる立ち枯れ病の一種であった。しかもヨーロッパにはなかったこのジャガイモに取りつく菌は、9月に・・・アイルランドに上陸するや、またたく間に全土に拡がり、その被害は三年間にも及んだのであった。」
材料
約16㎝の丸形のブレッド1個分
170g 全粒小麦粉 + 1tsp ベーキングパウダー
※あらかじめよく混ぜてふるっておく
170g 薄力粉 +適量
1/2tsp 塩
1/2tsp ベーキングソーダ
250ml 牛乳 + 4tsp レモン汁 バターミルクの代わり
※あらかじめ混ぜておく
レシピの紹介
1.オーブンを200度に予熱し、オーブン板にベーキングシートを敷く
2.全粒小麦粉、薄力粉、塩、ベーキングソーダを大きなボールに入れて、均等になるように泡立てきで混ぜる
3.真ん中に穴を作り、牛乳とレモン汁を混ぜ合わせたものを入れて、ゴムベラでざっくり混ぜる
4.作業台に粉をし、生地をこねて丸形にする
5.包丁でクロスにカットしたら、軽く粉をする
6.ベーキングシートを敷いた板に軽く粉をし、生地をのせて200度のオーブンで約30分焼いて、完成!
※焼いたその日のうちにお召し上がりください。
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