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日本のおばさんが、クリント・イーストウッド似のイギリス人と結婚できた理由 17 日本初旅行と愛の言葉

英語らしい表現〜一番嬉しかった愛の言葉〜

マルコムは、それまでフランス語を少しかじってきたものの、本格的に外国語を勉強する必要は全くなかった。
なぜって、世界中に(お金のために)英語を話す人はいくらでもいたから。
そして、私がどんなに英語がうまくなることを渇望しているかも、わかっていなかった、と思う。


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英語の通じない日本

マルコムと付き合うようになって、初めて日本に観光に連れて来た時、マルコムは「ロンリー・プラネット」(海外版地球の歩き方)の情報をうのみにして、日本では「英語と日本語が通じる」と思っていた。
だが、事実が違う。
彼が道行く日本人に、英語で話しかけても、相手は困ったような微笑みを浮かべながら後ずさっていくのだ。

マルコムからの信頼

彼の初来日は愉快なものだった。
ジャパン・レイル・パスを買い(これは海外でのみ売られている、日本の鉄道乗り放題のパス。
1週間単位で買える。昔は海外で永住権を持つ日本人も使えたが、今は規制が厳しくなって買えないようだ)。
これを持ってきたマルコムに、私は自分の仕事の間、京都と奈良、神戸などの観光を組んだ。
英語のガイド付き。

だけど、この旅行は初めから波乱含みだった。
東京駅で新幹線を待つ間、私が待ち合わせに迷ってしまい、乗るはずだったひかりに乗り遅れたのだ。
マルコムは全くパニックになることなく、時間が過ぎても平然とその場にいた。
もし私が行かれなかったら、今でもそこに立っているような気がするほどだ。
そこまで私を信頼してくれていたのか、慌てず騒がずマルコムは、言葉の通じない国の混み合った駅で私を待っていた。

マルコムの見た観光ツアー

幸い、次のひかりの自由席で何の問題もなく私たちは京都に着いたのだった。
京都駅前のビジネスホテルにマルコムを置いて私は東京に帰った。
ものすごく心配だったけど、案ずるより産むが易し、1週間というもの、彼は様々な国からの観光客と一緒に、それなりに異国を堪能したようだった。

マルコムが言うには「英語のガイドは英語が達者だけれど、休憩や食事の時間に決して客と交わろうとしない。そのくせ、ガイドが終わると自分のところに来て『私はビートルズの大ファンです』なんていうんだ」というが、多分ガイドさんたちは客と私的な会話を交わすことが禁じられているのだろう。
日本の公式な「通訳ガイド」の試験を通った人は(少なくとも)ものすごくボキャブラリーがあるはずだ。
イギリス人だって一生口にしたことがない単語を山ほど覚えないと合格しない試験をくぐり抜けている。
だが、それとコミュニケーション能力とは別なのではないかと思う。

さらに言えば、イギリスではビートルズとかローリングストーンズといったロックは、基本的には労働者階級やティーンエイジャーが聴く音楽で、ある程度知的なイギリス人はクラシック、もしくはジャズを聴くものと相場が決まっている。
でも日本人にとってはあの時代、英語の生き字引でもあったのだ。

美しい愛の言葉

たとえば、「私はあなたという人を誇りに思います」という場合、「I am very proud of you」なんて言ってしまいがちだ。
でも英語らしさとなると「I am proud of who you are」の方が英語らしい。
日本人は直訳してしまうので、日本語らしい英語になってしまうのだ。
英語らしい表現は、英語で考えなければ出てこない。

苦戦する私を見てマルコムは、よくこういったものだ。

「もし頭と頭をつなげるケーブルがあったら、僕は頭にケーブルをつけて、僕の頭の中にある英語を全部君にあげたい」

私はこれ以上美しい愛の言葉を聞いたことはあまりない。

つづく

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Emma Rosemary Watson

2005年ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ、
Transnational Communication and Global Media修士課程終了。
以降、ロンドンにて日英コンテンツの発信を行う。
ロンドン在住中にイギリス人の夫と結婚、
イギリス流のライフスタイルのなかで暮らす。
現在、イギリス人の好むイギリスのカントリーサイドを歩くネイチャーウォークの楽しさを日本人にも知ってもらおうと活動中。

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