おいしい英国レシピ No.34 Cheddar cheese cake

今回は、ロザリーの「イギリスの美味しいもの」の記事で1位ムール貝、2位スケート(エイ)に続き、3位に堂々とランクインされた、「チェダーチーズ」を使ったレシピの紹介です。

チェダーチーズは牛乳が原料のハードタイプのチーズで、イギリスの他、オーストラリア、ニュージーランド、そしてアメリカなど世界各地で生産され、世界で最も多く消費されているとも言われるチーズになりますが、元来はイギリス生まれのチーズになります。

ということで、イギリスのチェダーチーズについて詳しく見ていきましょう。

まずは名前の由来から。
チェダーチーズは12世紀後半に、イギリスの南西部のサマセット州のチェダーという町にある洞窟や峡谷でチーズを保存していたことから名付けられたようです。
その洞窟の中は、チーズを熟成させるのに温度や湿度が最適だったようです。
また、チーズの「Cheddaring(チェダリング)」として知られている製造過程にも名前の由来があるようで、そのチェダリングとは、カードと呼ばれる牛乳などに酵素を加えてできる凝固物を厚切りにして積み重ね、ホエー(乳清)を取り除くことです。
この製造過程が、より固くそしてしっかりした組織のチーズを作ることに一役買っているようです。

次は、チェダーチーズの歴史にうつりましょう。
サマセット州のチェダーチーズ作りは、800年以上前のイングランド王の財務記録(Great Rolls of the Pipe)にも記載されており、1170年に当時の王ヘンリー二世は、4.6トンもののチェダーチーズを購入し、「チェダーチーズはイギリスにおいて最高のものである」と明言したとも言われています。
息子のジョン王子(統治:1199―1216)も、ヘンリー2世に引き続き、皇室の祝宴のためにチェダーチーズを購入し続けたとの記録が残っているようです。
そして、チャールズ1世(統治:1625―1649)の統治時代の議会の記録には、チェダーで作られるチーズは、作られる前に完売し、王宮でしか手に入らないほど貴重なチーズであったと記載されているとのこと。
チェダーチーズは、当時のイギリスにおいて人々の大切な栄養源であった他、まさに権力の象徴でもあったようですね。

そして最後に、現在のチェダーチーズについてです。
既にお話ししたように、現在チェダーチーズはイギリスで作られているほか、世界各地で生産され消費されています。
現在、イギリスの14の生産者がEUのPOD(Protected Designation of Origin:原産地名称保護制度)“West Country Farmhouse Cheddar”の使用が許可されています。
そのチーズは4つの地域、デヴォン、コーンウォール、ドーセット、サマセットの農場で、現地の牛乳で、伝統的な技術を使って(手でcheddaringをするなど)チェダーチーズを作らなければいけないという厳しい基準があります。
West country Farmhouse Cheddarは、生産された地域で熟成され、最低でも9ヶ月熟成されたあと販売されているようです。

現在では世界各地で作られているチェダーチーズ。地域・国によって味も香りも見た目も様々です。
機会があれば、食べ比べしてみるのも楽しいかもしれませんね。

以上チェダーチーズについてみてきましたが、それではレシピの紹介です。
チェダーチーズをたっぷり使った今回のレシピは、泡立てた卵白を混ぜることにより、スフレのようにフワッとした生地になりますが、チェダーチーズの濃厚さがしっかりと生地にも浸透し食べごたえがあります。
是非、紅茶と共にお召し上がりくださいね。

(材料)20㎝ケーキ型
150g チェダーチーズ
100g 食塩不使用バター
100g 牛乳
6個分 卵黄
100g 薄力粉
6個分 卵白
100g グラニュー糖

1.オーブンを150℃に予熱し、20㎝のケーキ型にベーキングシートを敷く
※焼いた際に高さがでるので、ベーキングシートは型の高さより高めになるようにする
2.チェダーチーズと食塩不使用バターは適度な大きさにカットしボールに入れて、湯せんにかけながらゴムベラを使って溶かし、チェダーチーズがある程度溶けてきたら牛乳を入れて混ぜて完全に溶かし、火から外して少し冷ましておく
%e5%86%99%e7%9c%9f1-1
%e5%86%99%e7%9c%9f2-1
3.ボールに卵黄6個を入れて溶きほぐしたら、溶かした②を少しずつ入れて泡だて器でよくかき混ぜる
%e5%86%99%e7%9c%9f3-1
4.薄力粉をふるい入れ、泡だて器でよくかき混ぜる
%e5%86%99%e7%9c%9f4-1
%e5%86%99%e7%9c%9f%ef%bc%95-1
5.別のボールに卵白をいれ、ハンドミキサーで8分立てしたら、グラニューを入れて角が立つまでよく混ぜる
%e5%86%99%e7%9c%9f6-1
%e5%86%99%e7%9c%9f7-1
6.5の卵白1/3を卵黄の入った混ぜ物に入れて泡だて器でよくかき混ぜたら、残りの卵白を入れて、ゴムベラでざっくり混ぜる
%e5%86%99%e7%9c%9f8-1
7.生地を型に流して湯せんにかけ、150℃に予熱したオーブンで約60分焼き、その後オフになったオーブンの中に5分間置き、生地を落ち着かせる
%e5%86%99%e7%9c%9f9-1
8.完成
000

【Kanako公式HP】

Food culture and society

※現在新HPへ移行中のため、上記リンクは繋がりません。
筆者kanako様のプロフィールとお問い合わせは下記リンクのページをご利用ください。


ロザリーのTOPページへ戻る

関連記事

  1. 中世にタイムスリップ? サーク島へ行こう!(その1)

  2. イギリスの学校に進学しよう!知っておきたい出願のHow to 1

  3. ノーベル文学賞受賞記念 カズオ・イシグロ原作 『日の名残り』特別上映 Bunkamuraル・シネマに…

  4. イギリスでよそ様のお庭を自由に歩く方法(その1)

  5. ヨークシャーにある謎の岩

  6. uk-tank

    イギリスの世界初を集めてみた

  7. ママレードケーキ

    おいしい英国レシピ Vol.6 Marmalade Cake(マーマレード ケーキ)

  8. 秋篠宮佳子さまがご留学されるリーズという都市

  9. uk-bicycle-london-outside-summary

    イギリスの自転車事情はロンドン以外だとどうなっているのか?

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP