最近になってスーパーのジャムのコーナーに、“レモンカード”を見かけることが多くなりましたが、ご存じではない方も多いかもしれませんね。
レモンカードのカード(curd)とは凝固物のことです。
ゆえにレモンカードとは、レモンの凝固物つまりレモンスプレッドになります。
パンやスコーンにぬったり、ケーキに挟んだり、マフィンに加えたりと食べ方は様々です。
ジャムとは異なり、材料に卵やバターが加わります。
カスタードクリームのバニラの香りがレモンに代わったもの、と考えた方が分かりやすいかもしれませんね。
さて1844年にさかのぼってみると、「The Lady’s Own Cookery Book」という料理本にレモンカードに関するレシピが掲載されていたようです。
しかし、これは現在のレモンカードとは異なります。
クリームにレモンの酸味が加わると凝固し、それをチーズクロス(こし布)でホエーと分け凝固した物を取り出す、とあります。
要するに、チーズのようなものですね。
そして別のレシピ本ではレモンカードは“レモンチーズ”と呼ばれており、これは現在のレモンカードタルトを意味するようです。
作り方の過程で興味深い説明があります。
それは、「レモンのアロマオイルを抽出するため、砂糖でレモンの表面をよくこする」とあります。
現在のレシピではレモンの皮を削って入れるのですが、当時は削る道具がなかったことが分かりますね。
また砂糖は、現在使っている砂糖のように粒状ではなく塊だったそうです。しかし、簡単に粉々にすることが可能だったそうです。
古いレシピ本からはレシピを知るだけではなく、当時の背景も見えてきますね。
それではレシピの紹介です。
レモンカードは、想像しているよりも短い工程で簡単に作れます。
卵が入っているため日持ちはしませんが、甘酸っぱいレモンの香りが漂います。
トーストに塗ったり、ヨーグルトに入れてお召し上がり下さい。
(材料)500g
4個 レモン 皮・果汁(ワックスがついてないもの)
200g グラニュー糖
100g 食塩不使用バター
3個 全卵
1個 卵黄
1.ボールに、レモンの皮のすりおろし・果汁、グラニュー糖、バターを入れ湯せんにかけて、バターが溶け全体が馴染むまで泡だて器でよくかき混ぜる
※湯せんにかけた場合、ボールの底がお湯につからないようにする
2.小さいボールに全卵・卵黄を入れて軽く解きほぐす
3.1のボールに2の卵を入れて、湯せんにかけてよくかき混ぜる
4.10~13分湯せんにかけ、時々かき混ぜ、クリーミーで程よい濃さになったら火から外して冷ます
5.熱湯処理をした瓶に入れ、蓋をして冷蔵庫で保存する
6.完成
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