ウェールズの城

ウェールズのお城

1. 概要

1.1. ウェールズの場所

ウェールズはグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(イギリス)を構成する4つの「国(イギリスのカントリー)」(country)のひとつ。
ロンドンの西方およそ200kmに位置し、アイルランドと海を隔て、リヴァプール湾、カーデガン湾、ブリストル海峡に囲まれる。(wikipediaより)

By Blank map of Europe (with disputed regions).svg: maix二次著作物 Alphathon /’æɫfə.θɒn/
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1.2. イギリスの城の中での立ち位置・役割

中世ヨーロッパにおける13世紀後半と14世紀初頭の軍事建築の最高の例としてUNESCO世界遺産に登録されている城が4つある。
コンウィ城
ハーレック城
カーナボン城
ビューマリス城

イングランドがウェールズ公国を平定するため、激化する抵抗運動を抑止するために莫大な費用をかけて建築した。

1.3. 主な城

1.3.1. コンウィ城

1.3.2. ハーレック城

1.3.3. カナーボン城

1.3.4. ビューマリス城

1.3.5. ケアフィリー城

1.4. 管理団体「カドゥ(cadw)」について

ウェールズ自治政府による歴史遺産と自然保護を目的としたNPO。
ウェールズの古城の内、44の所有権を持っている。

2. 特徴

ウェールズには600以上[1]の城がある。世界で最も平方マイルあたりの城の数が多く、ウェールズのいたるところで、古代の城を訪れることができる。
その密度の高さから「世界の城の都」と呼ばれる。
城の100以上は廃墟として、または復元された建物のいずれかが立っている。
残りの約500の城は城の一部が残された状態で自然に還っている。

3. 歴史(経緯)

ウェールズにある城は11世紀~17世紀に建てられている。
(カステルコーチだけ19世紀だが、もともとは11世紀建築)

11世紀後半から13世紀後半までは軍事利用を目的として城が建てられていたが、以降は南北戦争の時期以外では、住居やホテルとしての利用が主になる。

下記にウェールズの城の歴史を簡単にまとめる。

11世紀後半:ウィリアム1世によるウェールズ平定のため、木造での城を作った(モッド・アンド・ベイリーキャッスル)

11世紀後半~12世紀初頭:木造だった城が石造りになる(ストーン・キープ・キャッスル)

13世紀初頭:城の防御が強化され集中式城郭になる

13世紀初頭:ウェールズの王子たちによる地形効果を活かした城が建てられる

13世紀後半:イングランドによるウェールズ平定に対する抵抗運動を抑止するための城が建てられる

15世紀:城の行政施設化

16世紀:城の住居・ホテル化

17世紀:南北戦争による城の再軍備

18世紀後半~19世紀の城:富裕層による城のブランド化

4. 経済

エドワード1世が建城にかけた総費用は、日本円で約5000億円(2019年現在)
他の軍事費と合わせて、財政破綻する原因となった。

5. 技術

5.1. 時代ごとの城の特徴

5.1.1. 11世紀後半:モット・アンド・ベイリーキャッスル

(例:トゥースヒル、ルドラン)
ノルマン人が多く使用していた城のデザインで、安価で早く建城できる特徴がある。
モット・アンド・ベイリーキャッスルは三つの要素で構成される。

・モット
自然の丘や人工的に盛り上げた土。
防御的機能を高めるために周囲を見渡せるように高く盛っている。

・キープ
モットの上に置かれる木造の建物。
城の主が居住していた。

・ベイリー
城下町。
溝、土手、木の柵で囲まれている。
柵の間に木の門が一つ設けられている。

5.1.2. 11世紀後半~12世紀初頭:ストーン・キープ・キャッスル

(例:オグモア城)
【強化ポイント】
キープ・柵・門の素材である木を石に変更。

5.1.3. 13世紀初頭:集中式城郭

(例:ケアフィリー城)
・ベイリーを囲む石造りの柵(カーテンウォール)が、より厚く、より強くそしてより高くなる。
・柵に塔が追加。
外敵を弓で射やすくするために、周囲のエリアを見渡せるよう柵から突き出ている

・ゲートハウスが追加。
門の防御を高めるため、キープの機能を備えた。
敵の頭上から攻撃するための殺人孔や門への侵入を阻止するポートカリスも作られるようになった。

・キープへの道の防御を高めるため、矢をかわせないように遮蔽物のない橋を設置した。

5.1.4. 13世紀後半:エドワード1世の城

(例:ビューマリス城・カーナフォン城・コンウィ城・ハーレック城)
【強化ポイント】
・カーテンウォールや堀の多重化(同心円状の配置)
・カーテンウォール・塔・門の規模が大きくなる。
・城内から矢を打つための穴(アローループス)を複数設置

5.1.5. 15世紀:城の行政施設化

(例:ハーレック城)
城の役割が大きく変わる。
軍事的需要が少なくなる背景が2つあった。
一つは、政治的背景の変化で、ウェールズとイギリスが連合した後、国はより平和になり、城は防衛に必要とされにくくなったこと。
一つは、技術的背景の変化で、それまで頑丈だった石壁が、火薬と大砲の登場で簡単に破壊されやすくなったこと。

その影響により、裁判所や刑務所などといった行政施設として城が使用されだした。
また、役員のための宿泊施設としても用いられた。

5.1.6. 16世紀:城の住居・ホテル化

(例:ラグラン城)
軍事利用や行政施設利用もせず、単純に家屋や宿泊施設として利用し出した。
住居として利用しやすくするため大広間や画廊、庭園などを追加するための再建が行われた。

17世紀:南北戦争による城の再軍備(例:ラグラン城)
戦争のために再び軍事利用される。
壁に大砲が取り付けられた。

5.1.7. 18世紀後半~19世紀の城:富裕層による城のブランド化

(例:カステルコーチ)
再び軍事的需要がなくなり、最初から住居を目的として建設された城が出てきた。
主に富裕層にとって、中世ファッション趣向と富の象徴的意味合いで城が建てられるようになる。

5.2. 城の内部構造と役割(城の間取り図)

5.2.1. コンウィ城

5.2.2. ハーレック城

5.2.3. カナーボン城

5.2.4. ビューマリス城

5.2.5. ケアフィリー城

6. 逸話(エピソード)

6.1. ドラゴンクエストの元ネタはイギリス

ドラゴンクエストの元ネタがイギリスなのは有名だが、カドゥ担当者によれば取材の申し出が行われたことはない。
なお、他にも日本のアニメ・ゲーム会社などから撮影やインタビューを受けたことがあるかという質問を行ったところ、カドゥ担当者によれば、そのような事実はないとの返答をしている。

7. 外部リンク

Cadwの公式ウェブサイト
Cadwのwiki

8. 出展

[1]ウェールズ政府 日本代表事務所ホームページ記事 No.1 641の古城の宝庫 ウェールズ

9. 関連項目

・イギリス当局者の公式見解を聞いてみた①スコットランド政府の担当者に聞く スコットランドに独自の貨幣がある理由とは?
・タロン・エガートンの深イイ話
・【イギリスを支えた偉人たち】アベリストウィス大学に集まった市民の力と愛されたリーダー「デイビッド一族」

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